経理の採用は難しい!原因と解決策|採用難を乗り越えるBPO活用の新常識
- 3月30日
- 読了時間: 9分

「求人を出しても、数ヶ月間応募がゼロのまま」
「妥協して採用したが、スキル不足で現場が余計に混乱している」
「ようやく採用した経験者が、数ヶ月で離職してしまった」
経理人材の採用に、このような課題を抱えている方は多いのではないでしょうか。現在、経理の有効求人倍率は非常に高く、スキルの高い経験者を確保するのは至難の業です。
本記事では、深刻な「経理採用難」の背景を整理。そのうえで、200社以上のバックオフィスを支援してきた経験から、経理採用が難しいと言われる理由と解決策、採用とBPOの最適な切り分けについて解説します。
Contents
経理採用が難しいと言われる3つの理由|市場要因
現在の経理市場は、空前の売り手市場です。これは単に「人が足りない」だけでなく、「求職者が企業を厳しく選別している状態」を指します。そのため、優秀な人材ほどより条件の良い環境へと流れる傾向にあるのです。
1.【数】圧倒的な人手不足と、優秀な人が動かない現状
少子高齢化による労働人口の減少が加速する一方で、実務能力の高い経理人材は今の会社でも十分な手当があるため、転職市場に出てきません。その結果、一人の経験者を多くの企業で奪い合う構造が加速しています。
2.【質】法改正やIT化による「求められるスキル」の変化
インボイス制度や電子帳簿保存法などの導入により、経理実務は年々複雑になっています。企業側が「最新のITツールを使いこなし、法改正にも即座に対応できる即戦力」を求める一方で、そのレベルに応えられる人材は限られており、理想と現実のミスマッチが起きているのです。
3.【条件】働き方のこだわりと、大手企業への集中
最近では、給与だけでなく「リモートワークができるか」「残業が少ないか」といった柔軟な働き方を重視する傾向があります。こうした体制を整えやすい大手企業に人材が集中し、設備や制度の整備が遅れがちな中小企業ほど、採用で苦戦を強いられる状況が続きます。
経理採用がうまくいかない企業の共通点(企業要因)
ここまで見てきたように、経理採用の難しさには市場要因が大きく影響しています。
しかし、採用に苦戦し続けている場合、外部要因だけでなく、自社内の体制が「候補者から選ばれる基準」に達していない可能性があります。
1.採用要件が高すぎる
前任者のスキルをベースに要件を作成してしまうと、「実務経験5年以上」「年次決算完結」「ITスキル必須」など、必要以上に高い要件を設定しがちです。条件を細かく設定しすぎてしまい、応募者から「自分には無理だ」と敬遠されているかもしれません。
2.採用通知までのスピードが遅い
優秀な経理人材は常に複数の企業からアプローチを受けています。選考プロセスが滞り、内定提示までに時間がかかっている間に、意思決定の早い他社に先を越されてしまうケースは少なくありません。
3.業務の属人化が「選ばれない理由」になっている
業務の属人化は、引き継ぎ体制やマニュアルが整っていない現場を生み出してしまう原因です。具体的な業務範囲を提示できないことは、候補者に「入社後の過度な負担」を予感させます。その結果、優秀な人材から真っ先に選考辞退の対象となってしまうのです。
経理を採用できない場合に起こるリスク
経理人材の採用が進まない状態を放置すると、日々の業務負担だけでなく、経営そのものに影響が及ぶ可能性も。ここでは、採用難が続いた場合に起こり得る主なリスクを整理します。
既存社員の負担増加と離職リスク:業務が一部の社員に集中し、疲弊や連鎖的な離職につながります。
ミス・不正リスクの増加:チェック体制が形骸化し、重大なミスや不正のリスクが高まります。
経営判断の遅れ:月次決算が遅延し、意思決定のスピードが低下します。
経理採用を成功させる3つのポイント
厳しい市場環境で「選ばれる企業」になるためには、現状の見直しが不可欠です。以下の3つを実践し、母集団形成から内定承諾率の向上までのトータルでの改善を目指しましょう。
1.要件定義の見直し
まず、前任者のスキルをそのまま求めるのではなく、業務に必要な要件を再定義します。「必須要件」と「歓迎要件」を明確に分け、応募のハードルを適切に設定し直すことが大切です。使用ツールや担当業務についても詳細に記載し、入社後の業務を想像できる状態を目指しましょう。
2.採用フローの最適化
優秀な人材を逃さないためには、選考スピードを極限まで高める工夫が必要です。
判断基準を明確化し、結果通知をできる限り早める体制を構築します。また、面接を単なる「選抜」の場ではなく、自社の魅力を候補者に伝える「プレゼン」の場として活用することも重要です。
3.業務フローの整理と属人化の解消
業務フローを整理し、マニュアル化や判断基準の標準化が進めば、「一人で全て担える人材」を求める必要はありません。結果として採用の間口が広がり、未経験者や若手人材の受け入れもしやすくなります。
採用だけに頼らない解決策|外部リソースの活用
経理人材採用の目的は、「経理業務が滞らない環境」をつくることです。採用以外の選択肢としては、主に「派遣社員の活用」や「BPO(外部委託)」が挙げられます。それぞれに特徴があり、自社の状況に応じて使い分けることが重要です。
外部リソース①:派遣社員
派遣社員は、正社員採用よりも比較的短期間で人材を確保できる点が特徴です。定型業務や繁忙期の一時的なリソース不足を補うため、これまで多くの企業で採用されてきました。
一方で、業務の指示や管理は自社で行う必要があり、業務設計や教育の負担が残る点には注意が必要です。
外部リソース②:BPO
BPOは、業務単位・時間単位で外部に委託できる点が特徴です。
記帳や請求処理などの定型業務だけでなく、業務フローの整理やマニュアル作成まで含めて依頼できるケースもあります。
業務を「人」ではなく「仕組み」で運用するため、属人化の解消や安定した体制構築につながりやすい点がメリットです。
採用手法ごとの比較
比較項目 | 正社員 | 派遣社員 | 外部委託(BPO) |
準備期間 | 2〜3ヶ月以上 | 最短1ヶ月 | 3日〜1週間 |
業務範囲 | 〇 | △(指示が必要) | ◎(仕組み化まで対応)※企業による |
コスト | ✕(高い固定費) | △ | ◎(変動費で最適化) |
引継ぎ | 〇 | ✕ | ◎(マニュアル不要) |
BPOが経理課題の解決につながる3つの理由
1.属人化の解消と業務の安定化
BPOは「人」ではなく「仕組み」で業務を運用するため、特定の担当者に依存しない体制を構築しやすくなります。担当者の不在や退職といったリスクに左右されにくく、継続的かつ安定した業務運用につながります。
2.繁忙期への柔軟な対応
業務量に応じてリソースを調整できる点も特徴です。決算期や年末調整など、一時的に業務が増加する場面でも、追加採用に頼らず対応しやすくなります。
3.業務の分解と再設計
BPOを活用する前提として、業務を「作業」と「思考」に切り分けることが重要です。
作業(記帳・支払・経費精算など):外部化により効率化が可能
思考(管理・判断・財務戦略など):自社の人材で担うべきコア業務
このように役割を整理することで、自社のリソースをより重要な業務へ集中させることができます。
自社に合った選択をするための判断軸
採用か外部活用かは、優劣ではなく「状況に応じた使い分け」が重要です。
以下の観点で整理すると、自社に合った選択が見えやすくなります。
業務の属人化の度合い
業務がブラックボックス化している場合は、まず整理・標準化が優先です。
そのうえで、継続的に内製化したい業務であれば正社員採用、短期的に安定化を図りたい場合は外部活用が適しています。
業務量の変動
毎月の業務量が安定している場合は、正社員での体制構築がフィットしやすい傾向があります。一方で、月次・決算など波がある場合は、外部リソースを活用した柔軟な対応が有効です。
採用の難易度
採用市場の状況や求めるスキルによっては、採用に時間がかかるケースもあります。
中長期で人材を育成したい場合は正社員採用、早期に体制を立て直したい場合は外部活用を検討するとよいでしょう。
内製化すべき業務の範囲
経営判断や数値管理など、社内にノウハウを蓄積したい業務は内製化が適しています。
一方で、定型業務や標準化しやすい業務は、外部委託によって効率化が図れます。
経理採用に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 採用にはどれくらい時間がかかりますか?
A. 経験者採用の場合、3ヶ月〜半年かかるケースが一般的です。その間の欠員を埋めるために、まずはBPOを導入して体制を維持する企業が増えています。
Q2. 未経験採用とBPOはどちらが良いですか?
A. スピーディーに体制を整えるにはBPO、中長期的な組織作りには採用・育成が有効です。ただし、教育担当者の工数が確保できない場合は、BPOで「型」を作ってから未経験者を迎えるのが最もスムーズです。
まとめ|経理採用が難しい時代は外部リソースを上手く利用しよう
「人が足りないから採用する」というこれまでの発想だけでは、現在の採用難に対応することは困難です。
重要なのは、自社の社員が経営判断や改善などの高付加価値な業務に集中できる環境を作ることです。そのために、標準化できる定型業務は外部のプロに委ね、自社はコア業務にリソースを集中させる。これが、これからのバックオフィスの最適解です。
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