決算早期化の業務改善事例3選|決算を早めた取り組みとその成果

「月次決算が締まるのが遅く、経営会議に数字が間に合わない」
「経理担当者に業務が集中し、月末月初の負担が大きい」
「SaaSを導入したものの、思ったほど決算が早くならない」
決算早期化に取り組む企業では、このような課題がよく見られます。
決算を早めるには、経理部門だけで作業時間を短縮するのではなく、証憑の回収や承認、データ入力など、決算前の業務まで含めての見直しが必要です。
本記事では、決算・経理業務の改善事例をもとに、どのような課題があり、何を見直し、どのような成果につながったのかを紹介します。
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決算早期化とは?事例を見る前に押さえたいポイント
決算早期化とは、決算に必要な業務を見直し、財務情報をより早く確定できる状態を目指す取り組みです。
単純に経理担当者の作業を急ぐだけでは、継続的な早期化は難しくなります。
例えば、経費精算の申請が遅れれば経理処理も後ろ倒しになり、請求書の回収や承認に時間がかかれば、仕訳や支払い処理にも影響します。
そのため、決算早期化では決算そのものだけでなく、その前段階にある業務や社内の役割分担まで見直す視点が重要です。
決算が遅れる企業に多い3つの課題
決算業務が予定どおり進まない場合、経理部門だけに原因があるとは限りません。決算前の業務や、他部門との連携にボトルネックが隠れているケースもあります。
■1.証憑や必要なデータが揃うまでに時間がかかる
請求書や領収書、経費精算などの情報が締め日までに揃わなければ、経理担当者は決算処理を進められません。
提出期限が明確になっていなかったり、承認者が不在だったりすると、月末月初に処理が集中します。
■2.手入力や転記などの作業が多い
複数のシステムやExcelを使っている場合、手入力や転記などで同じ情報を何度も入力する作業が発生します。
こうした作業は時間がかかるだけでなく、入力ミスや確認作業の増加にもつながります。
■3.業務が属人化し、担当者に負荷が集中している
特定の担当者しか処理できない業務が多いと、担当者の休暇や退職によって決算業務が滞る可能性があります。
担当者の経験に頼るのではなく、業務手順や判断基準を整理しておく必要があります。
決算早期化の業務改善事例3選
ここからは、実際の決算・経理業務の改善事例を紹介します。
決算が遅れる背景には、経費精算や経理担当者の不足、未処理業務の滞留など、企業ごとに異なる課題があります。そのため、決算早期化の進め方も一律ではありません。
それぞれの事例を、「課題」「取り組み」「成果」の順に紹介します。
■事例1:電気機器製造業A社|経費精算の締め作業を期日通りに完了
項目 | 内容 |
従業員規模 | 1,000名以上 |
業種 | 電気機器製造業 |
主な課題 | 経費精算の締め作業が期日に間に合わない |
支援内容 | 経費精算業務の受託・業務プロセスの見直し |
<課題>
他社のBPOサービスを利用していたものの、経費精算システムの締め作業が期日までに間に合わず、社員がフォロー対応に追われていました。
BPOを利用しているにもかかわらず、業務負荷が十分に軽減されず、本来のコア業務に専念しにくい状態です。
<取り組み>
経費精算業務を受託し、実際の業務プロセスを確認したうえで、締め作業の進め方を見直しました。
単に業務を代行するのではなく、どこで処理が滞っているのかを整理し、安定して締め作業を進められる業務体制を整備することに。
<成果>
経費精算プロセスが安定し、締め作業を期日通りに完了できる体制を確立しました。社員が経費精算のフォロー業務から解放され、コア業務へ専念できるようになった点も大きな成果です。
経費精算は決算前の重要な業務の一つです。ここで処理が滞ると、その後の経理処理にも影響します。この事例では、決算前工程の業務を安定させることで、決算業務を円滑に進められる状態をつくった点がポイントです。
■事例2:不動産業B社|経理担当者の急退職から決算を立て直し
項目 | 内容 |
従業員規模 | 11〜50名 |
業種 | 不動産業 |
主な課題 | 決算直前に経理担当者が退職 |
支援内容 | 経理業務の短期間での引き継ぎ・決算対応 |
<課題>
決算直前という重要な時期に、経理担当者が急遽退職。経理業務の担い手が不在となり、決算を期日までに完了させるため、短期間で業務を引き継ぐ必要がありました。
<取り組み>
短期間で経理業務を引き継ぎ、専門知識を持つチームが経理全般を支援しました。顧問税理士とも連携しながら、決算に必要な業務を整理し、優先順位をつけて処理を進めることに。
<成果>
決算を期日までに完了させ、決算遅延のリスクを回避しました。
この事例で重要なのは、決算早期化が単に「処理速度を上げる」だけではない点です。
経理業務が特定の担当者に集中していると、退職や休職によって決算業務そのものが止まる可能性があります。
担当者が不在になっても決算を止めない体制を整えておくことも、安定した決算業務には欠かせません。
■事例3:投資運用業C社|約1年間滞留した経理・労務業務を決算期限までに処理
項目 | 内容 |
従業員規模 | 1〜10名 |
業種 | 投資運用業 |
主な課題 | 約1年間にわたり経理・労務業務が滞留 |
支援内容 | 未処理業務の整理・集中処理 |
<課題>
ベンチャーキャピタルでバックオフィス部門が十分に整っておらず、約1年間にわたり経理処理が追いついていない状態でした。
決算期限が目前に迫るなか、滞留していた経理・労務業務を短期間で処理し、決算を期限内に完了させる必要がありました。
<取り組み>
専門知識を持つチームが、経理・労務の未処理業務に対して緊急かつ集中的な支援を実施しました。
限られた期間のなかで業務の優先順位を整理。結果として、決算に必要な処理から順番に進められるようになりました。
<成果>
決算に必要な業務を期限までに完了させ、事業を正常な運営状態へ戻すことができました。
このケースは、決算早期化というより、まず滞留したバックオフィス業務を解消し、決算を正常に実施できる状態へ戻すところから始めています。
決算を早く締めるには、単に決算期間だけを短縮するのではなく、日常の経理業務が滞りなく処理されている状態が前提です。
業務の滞留や未処理が積み重なっている企業では、まず正常な業務サイクルを取り戻すことから始めてみましょう。
3つの事例から見る決算早期化の共通ポイント
これまで見てきた3つの事例では、取り組んだ内容や企業が抱えていた課題がそれぞれに異なります。
一方で共通しているのは、決算処理そのものではなく、決算に至るまでの業務や経理体制に課題があった点です。経費精算の遅れ、担当者の退職、長期間にわたる未処理業務など、日常の経理業務が安定していなければ、決算を早く締めるのは難しくなります。
決算早期化を目指すためには、次の3点が重要です。
■1.決算につながる業務を安定させる
経費精算や請求書処理など、決算前に発生する業務が遅れると、後続の経理処理にも影響します。
決算業務だけを切り出して改善するのではなく、決算につながる前工程まで含めて、期限内に処理できる状態を整えることが重要です。
■2.担当者が変わっても止まらない業務体制をつくる
経理担当者の退職や休職は、決算業務が遅れる大きな要因です。
特定の担当者だけが業務を把握している状態を避け、業務の引き継ぎや役割分担を整えておくことで、人が変わっても決算を継続できる体制を維持できます。
■3.まず「正常に回る状態」をつくる
未処理の経理業務が大量に残っている場合、いきなり決算の早期化を目指すのは困難です。
まずは滞留している業務を整理・処理し、日常の経理業務が正常に回る状態へ戻します。そのうえで業務プロセスを見直し、継続的な決算早期化につなげていきます。
■決算早期化は「決算の処理速度」だけで決まらない
今回紹介した3つの事例から分かるのは、決算を早く締めるためには、その前提となる経理業務や体制を整える必要があるという点です。
「決算処理に時間がかかっている」と考えていても、実際にはその原因が経費精算の遅れや担当者への業務集中、日常業務の滞留にあるケースもあります。
そのため、決算早期化に取り組む際は、決算業務だけを見るのではなく、決算までの業務全体を確認することが重要です。
決算早期化では課題に応じて手段を使い分ける
今回紹介した3つの事例では、BPOによる業務支援や業務改善など、課題に応じて異なる手段が活用されています。
しかし、SaaSやBPOを導入するだけで決算早期化につながるわけではありません。実務では、決算を遅らせている業務を特定し、その課題に合った手段を選ぶことがポイントです。
たとえば、手入力や紙での処理が多ければSaaSによる効率化、業務フローが複雑で手戻りが発生していれば業務改善、経理人材が不足していればBPOによる業務支援が考えられます。
手段 | 向いているケース | 期待できる効果 |
SaaS | 手入力・紙処理が多い | データ入力や申請・承認を効率化 |
業務改善 | 業務フローが複雑、手戻りが多い | 重複作業や手戻りを削減 |
BPO | 経理人材が不足、定型業務が多い | 社内の業務負荷を軽減 |
重要なのは、SaaS・業務改善・BPOのどれを選ぶかではなく、決算を遅らせている原因に合わせて必要な手段を選ぶことです。
たとえば、SaaSを導入する前に業務フローの整理が必要なケースもあれば、業務を整理した結果、定型業務をBPOへ移管したほうがよいケースもあります。
決算早期化を目指すうえでは「何を導入するか」ではなく、「どの業務が決算を遅らせているのか」から考えましょう。
自社の決算早期化を考えるときのチェックポイント
決算早期化を検討するときは、現在の業務を次の観点から確認してみましょう。
チェック項目 | 確認するポイント |
証憑回収 | 各部門から期限内に集まっているか |
承認 | 月末月初に申請・承認が滞っていないか |
手入力 | 転記・二重入力が残っていないか |
業務分担 | 特定の担当者に業務が集中していないか |
システム | データ連携できていない業務がないか |
外部活用 | 社内で抱える必要のない定型業務がないか |
すべてを一度に変える必要はありません。
まずは決算業務の中で時間がかかっている部分を確認し、その前工程まで含めてボトルネックを整理すると、改善すべきポイントが見えやすくなります。
決算早期化に関するよくある質問
Q1.月次決算は何営業日で締めるのが目安ですか?
A. 一概に「○営業日まで」とは言えません。
重要なのは、自社の経営判断に必要なタイミングで、正確な数字を確認できる状態にすることです。
まずは現在の決算がいつ完了しているのかを把握し、経営会議や予算実績の確認など、実際に数字を使うタイミングから逆算して、どこまで前倒しできるかを考えましょう。
Q2.ひとり経理でも決算早期化はできますか?
A. できます。
ただし、担当者一人に業務が集中している場合は、早期化とあわせて属人化への対応も必要です。
担当者が不在になると決算が止まる状態では、処理スピードを上げても安定した決算にはつながりません。業務の標準化や外部リソースの活用によって、担当者が一人でも決算を止めない体制を整えることが重要です。
Q3.決算早期化にはSaaSの導入が必要ですか?
A. 必ずしも必要ではありません。
決算を遅らせている原因によって、必要な対応は異なります。
手入力や紙処理がボトルネックならSaaSが有効ですが、業務フローの問題や人員不足が原因なら、業務改善やBPOが適している場合もあります。「何を導入するか」ではなく、「何が決算を遅らせているか」から考えることが大切です。
Q4.経理業務はどこまで外部に任せられますか?
A. 記帳や経費精算、売掛・買掛管理などの定型業務は、外部へ委託できる場合があります。
今回紹介した事例でも、経理人材の不足や業務の滞留に対して、外部の専門チームが経理業務を支援しています。税務申告など税理士・会計士の独占業務については、顧問の専門家との役割分担が前提です。
Q5.決算を早くすると、数字の正確性が落ちませんか?
A. 決算早期化は、チェックを省いて処理を急ぐ取り組みではありません。
今回の事例でも、単純に処理速度を上げるのではなく、業務を整理して決算に必要な処理を安定して進める体制を整えています。スピードと正確性を両立するには、決算直前に業務が集中しない状態をつくることが重要です。
まとめ|決算早期化は業務全体を見直すことから
決算早期化では、経理担当者の作業時間だけを短縮しても、十分な効果が得られない場合があります。
今回紹介した事例でも、
決算前の業務を安定させる
経理担当者への業務集中を解消する
滞留している業務を整理する
必要に応じてBPOなど外部リソースを活用する
など、企業ごとに異なるアプローチが取られています。
しかし、共通しているのは決算業務だけでなく、その前後にある業務や社内の役割分担まで見直している点です。
決算が遅れる原因が分からない場合や、SaaSを導入しても手作業が残っている場合は、個別の業務ではなく経理業務全体を整理する必要があります。
決算・経理業務の課題の整理もぜひご相談ください
決算が予定どおり締まらない原因は、経理担当者の負担だけでなく、業務フローや社内の役割分担、システム、業務量など、複数の要因が重なっている場合があります。
レジリエント株式会社の「オフィス番」では、決算・経理業務の現状整理から、業務フローの改善、SaaS導入、BPOまで、企業ごとの課題に応じて支援が可能です。
「決算がなかなか締まらない」
「経理担当者に業務が集中している」
「担当者の退職で決算業務が滞っている」
「SaaSを導入したものの手作業が残っている」
このようなお悩みをお持ちの会社様は、ぜひ一度ご相談ください。
まずは現状の棚卸しから、伴走いたします。




