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ジョイントベンチャー・合弁会社の作り方|設立の流れ・出資比率・費用と設立後の体制まで

3 日前
読了時間: 13分

更新日:3 日前

ジョイントベンチャー・合弁会社の作り方|設立の流れ・出資比率・費用と設立後の体制まで

「他社とJVを始めることになったが、何から決めればいいのか分からない」

「出資比率や意思決定のルールをどう設計すればいいのか」

「設立後の経理や労務などの実務は誰が担当するのか」


ジョイントベンチャー(JV)の立ち上げは、こうしたさまざまな論点を整理しながら準備を進めます。1社では取りにくいリスクを分け合い、互いの強みを持ち寄れるのがジョイントベンチャーの魅力ですが、いざ作るとなると段取りでつまずきがちです。


本記事では、ジョイントベンチャー・合弁会社の作り方から、出資比率、JV契約、設立後の管理体制まで、実務の流れに沿って解説します。



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ジョイントベンチャー・合弁会社とは?


ジョイントベンチャー(以下、JV)とは、複数の企業が共同で事業を行う“仕組み”です。必ずしも新会社を設立するとは限らず、既存会社の共同事業として進めるケースもあります。


一方、合弁会社は、複数の企業が共同で出資して設立する会社です。つまり、合弁会社はJVの一つの形態と考えると分かりやすいでしょう。


項目

ジョイントベンチャー(JV)

合弁会社

意味

複数企業による共同事業の仕組み

複数企業が共同出資して設立する会社

新会社の設立

必須ではない

新会社を設立して事業を行う

事業の進め方

既存会社の共同事業なども可能

新会社を通じて事業を行う

管理体制

既存会社の体制を利用する場合もある

新会社の管理体制が必要


例えば、2社が共同で新規事業を始める際、既存会社の中に共同事業部門を設けるだけならJVとして進められます。


一方、共同で資金を出して新しい株式会社や合同会社を設立する場合は、合弁会社となります。


本記事では、特に新会社を設立するタイプのJV(合弁会社)を前提に、設立の流れから出資比率、JV契約、設立後のバックオフィス体制まで解説します。



ジョイントベンチャー・合弁会社の作り方|設立の流れ


合弁会社は、多くの場合、株式会社または合同会社として設立します。会社そのものの設立手続きは、通常の会社設立と大きく変わりません。


大きく分けると、以下の5つのステップで進みます。

ステップ

やること

つまずきやすい点

① パートナー企業とのすり合わせ

・目的の共有、資金・技術・販路など持ち寄る資源の確認

・秘密保持契約(NDA)の締結

・パートナー企業の経営状況の確認

相手の財務・信用に関する価値観の相違

② 基本合意書の締結

目的や大枠の条件をMOU(基本合意契約書)・LOI(意向表明書)などで整理

口頭合意のまま進め、後で認識がずれる

③ 主要条件の調整

出資比率・役員構成・重要事項・撤退条件などを決定

50:50の場合の意思決定ルールが未整理

④ JV契約の締結

株主間の権利・義務や運営ルールを確定

契約の詰めが甘く、後の紛争につながる

⑤ 合弁会社の設立

株式会社・合同会社として設立登記

設立後の運営体制が決まっていない


ただしJVでは、複数の企業が共同で事業を行うため、③の主要条件の調整と④のJV契約が重要です。


会社の設立手続き自体は書類を準備して進められますが、パートナー企業との出資比率や意思決定のルールを詰め切らないまま設立すると、後から重要な判断ができなくなる可能性も出てきます。


次章以降の内容に注意して、条件を詰めていきましょう。



出資比率はどう決める?50:50で起こりやすいデッドロックに注意


出資比率は、JVの運営を左右する重要な条件です。


2社でJVを立ち上げる場合、50:50の出資比率にすれば両社が対等な立場になります。一方で、意見が割れた際にどちらも過半数を持たないため、意思決定が止まる「デッドロック」に陥るリスクがあります。


出資比率は、単純に「対等だから50:50」と決めるのではなく、事業の主導権や意思決定の仕組みまで含めて検討しましょう。


出資比率

主導権・意思決定

向いているケース

留意点

50:50

両社が対等

対等な協業を重視する場合

デッドロック対策が必要

一方が過半数

過半数側が主導

主導権を明確にしたい場合

少数側の権利保護が必要

一方が少数出資

限定的な関与

まず小さく関与したい場合

重要事項への拒否権などを検討

50:50を選ぶ場合は、意見が割れた際の解消方法もあらかじめ決めておきます。

また、出資比率は会計上の取り扱いにも影響する場合があるため、連結決算や税務上の扱いについては、会計士や税理士などの専門家にも確認しましょう。



JV契約・株主間契約で決めておきたい6つの事項


JVでは、出資比率や役員構成、意思決定のルールなど、パートナー企業との間でさまざまな条件を決める必要があります。こうした条件を整理し、両社の権利や義務、運営ルールなどを明確にするのがJV契約・株主間契約です。


「自社として何を守りたいのか」「どこまで相手と歩み寄るのか」を整理してから契約交渉に入ると、話し合いを進めやすくなります。


項目

決めること

もめやすい点

出資比率・追加出資

各社の出資割合、資金不足時の追加出資ルール

追加出資に応じられない場合の扱い

役員の指名・意思決定

役員数、取締役会・株主総会の決議事項

役員数の偏りによる主導権争い

重要事項の拒否権

予算・多額の投資・事業変更などの対象

拒否権の範囲が広すぎて何も決まらない

競業避止・知的財産

競合事業の扱い、技術・ノウハウの帰属

ノウハウ流出や権利関係のトラブル

配当・資金調達

利益配当、借入、増資などの方針

再投資か配当かで意見が分かれる

撤退・株式譲渡

株式譲渡、先買権、デッドロック時の処理など

撤退条件が決まっておらず塩漬けになる


契約書の作成やレビューは弁護士の領域です。契約交渉を専門家に任せる場合でも、上記の論点について「自社としてどうしたいのか」を事前に整理しておきましょう。



ジョイントベンチャー設立のスケジュール・費用は「設立後」も含めて考える


JVの立ち上げでは、会社設立にかかる費用だけでなく、設立前の契約・専門家対応や、設立後の管理体制まで含めて考えます。


■JVの立ち上げ期間は「条件交渉」に左右される

パートナー企業との合意形成には、会社設立の手続きよりも時間がかかるケースも少なくありません。特に、出資比率や役員構成、撤退条件などの調整が長引くと、設立時期も後ろにずれていきます。


設立予定日だけでなく、条件交渉から契約、設立後の準備まで含めてスケジュールを組みましょう。


■JV設立時にかかる費用|法定費用や専門家への報酬など

合弁会社を設立する際は、定款認証や登記などの法定費用に加え、司法書士や弁護士などの専門家への報酬が発生します。主な費用は以下のとおりです。


費用項目

内容

定款認証手数料

株式会社のみ必要

定款の収入印紙代

電子定款の場合は不要

登録免許税

設立登記時に必要

登記関連の実費

登記事項証明書や印鑑証明書など

司法書士への報酬

設立登記を依頼する場合

弁護士への報酬

JV契約や株主間契約のレビューなど

その他の専門家報酬

税理士・社会保険労務士などへの依頼


実際の金額は、会社形態、資本金、電子定款の利用有無、専門家への依頼範囲によって変わります。設立時点の最新情報を確認し、必要に応じて司法書士や弁護士などの専門家に相談しましょう。


■JV設立後は「管理部門の運営コスト」も発生する

新会社を設立すると、経理・労務・請求・総務・システムなどの業務が発生します。

そのため、JVの予算は、設立費用+設立後の運営コストで考えましょう。



ジョイントベンチャー設立後の管理体制|運営コストから考える4つの選択肢


JVでは、会社を設立すれば終わりではありません。登記後は経理・労務・請求・総務などの業務が発生するため、設立前から「誰が・どの業務を・どの方法で担当するか」を決めておくのがベストです。


管理体制には、大きく4つの選択肢があります。


■① 親会社の管理部門が兼務する

親会社の既存スタッフがJVの経理・労務・総務などを兼務する方法です。既存の人材やノウハウを活用できるため、立ち上げ初期から業務を進めやすい点がメリット。一方で、親会社の管理部門の業務量が増えるデメリットもあります。


また、JVでは複数の親会社が関わるため、以下の内容は事前に整理しておきましょう。


  • どの親会社が担当するのか

  • 人件費をどう負担するのか


■② 親会社から担当者を出向させる

親会社からJVへ担当者を出向させ、管理業務を担ってもらう方法です。


専任に近い体制を作りやすいのですが、出資する両社のバランスも考えながらどちらの親会社から何人ずつ出向させるかなどの調整が必要になります。


■③ JVで管理部門を採用する

JVで経理・労務などの担当者を別途採用する方法です。


新会社の事業に合わせた管理体制を構築しやすく、親会社の人員に依存しない運営が可能です。一方、事業規模が小さい段階から複数の管理担当者を採用すると、固定費が大きくなる可能性があります。

また、採用にかかるコストも別途算出が必要でしょう。


■④ 外部リソースを活用する

経理・労務・請求などの業務をBPOなどの外部リソースに任せる方法です。


新会社で人を採用せず、必要な業務だけを外部に任せられるため、立ち上げ時に不要な管理コストを抱えずに済みます。

特に業務量がまだ少ないJVでは、社内に残す業務と外部に任せる業務を分けるという考え方が有効です。


選択肢

初期コスト

固定費

立ち上げやすさ

向いているケース

親会社が兼務

低

低

◎

親会社管理部門の業務量に余裕がある

出向

中

中

〇

専任に近い体制が必要

JVで採用

高

高

△

一定規模の事業

外部リソース

低

低〜中

◎

小規模で始めたい



ジョイントベンチャー設立直後に必要なバックオフィス業務を整理する


新会社では、登記後すぐにさまざまなバックオフィス業務が発生します。そのため、設立前に「何が必要か」「誰が担当するか」を整理し、設立後の混乱を防ぎましょう。


業務

主な内容

設立前に決めること

経理・会計

仕訳、入出金、月次処理

会計担当・会計ソフト

給与・労務

勤怠、給与、社会保険

担当者・給与システム

請求・支払

請求書発行、支払処理

承認者・処理方法

総務

契約、備品、社内手続き

親会社との役割分担

システム

SaaS、アカウント管理

導入するシステム

税務・社会保険

税務・社会保険手続き

税理士・社労士など


■ポイント:最初からすべてを内製化する必要はない

設立直後から、すべてのバックオフィス業務を社内で抱える必要はありません。新会社の規模や業務量に応じて、社内で担う業務と外部に任せる業務を切り分ければ、最適なコストで事業をスタートできます。


  • 新会社:経営判断・重要な承認 

  • 外部:定型的な経理・給与計算・システム運用



【事例】ジョイントベンチャー設立と同時にバックオフィス体制を構築


JVでは、会社設立と同時に経理・労務などのバックオフィスも動かせる状態にしておくことが理想です。


ここでは、JVの設立にあわせて、SaaS選定・導入とBPOを組み合わせ、新たなバックオフィス体制を構築した事例を紹介します。


■要望:親会社からの出向を避け、必要なリソースだけで管理体制を構築したい

レジリエントが支援した株式会社Preferred Networks様では、JVの設立にあたり、新たなバックオフィス体制の構築が急務に。


親会社のバックオフィス業務社員の出向は避けたい、業務量もまだ多くないため、最小限のリソースとコストで効率的な管理体制を立ち上げられないか、とご相談いただきました。


■提案:SaaS導入とBPOでコンパクトなバックオフィスを立ち上げ

そこで、弊社ではSaaSの選定・導入とBPOを組み合わせて支援。新たに人を採用するのではなく、必要なSaaSを活用しながらバックオフィス業務をBPOとして外部から支援し、コンパクトな管理体制を構築しました。


JVの設立と同時に管理機能を立ち上げ、事業推進を迅速にサポートする体制を整えたのです。


■JVでは「誰が管理するか」まで設立前に決めておく

この事例のように、JVでは会社を設立するだけでなく、設立直後から必要になるバックオフィスを誰が担うかまで設計しておきます。


親会社からの出向、社内での兼務、新会社での採用、外部リソースの活用など、選択肢は一つではありません。事業規模や業務量、両社の関係性に応じて、適切な体制を選ぶのがポイントです。



ジョイントベンチャー・合弁会社の作り方に関するよくある質問


■Q1.JVとM&A(買収・合併)は何が違いますか?


A.JVは、複数の企業が共同で事業を行う仕組みです。共同出資によって新会社を設立する場合もあります。

一方、M&Aは企業の買収や事業の譲受、会社同士の統合などを指します。JVでは、それぞれの企業が独立性を保ちながら、特定の事業や目的で協力する点が特徴です。


■Q2.出資比率は何%にするのが良いですか?


A.目的によって異なります。

対等な協業を重視する場合は50:50も選択肢になりますが、意見が割れた際にデッドロックが発生する可能性があります。

主導権を明確にしたい場合は、一方が過半数を持つ設計も考えられます。その場合は、少数側の権利をどのように保護するかがポイントになります。


■Q3.合弁会社のバックオフィスはどう構築するのがおすすめですか?


A.親会社からの兼務・出向、新会社での採用、外部リソースの活用など、複数の方法があります。

業務量が少ない立ち上げ段階では、経理・労務などの定型業務を外部に委託し、必要な業務だけを社内で担う方法がおすすめです。

業務の切り分け方などは事業規模や業務量によっても異なるので、親会社との役割分担を踏まえて、適した方法を検討しましょう。


■Q4.合弁がうまくいかない主な原因は何ですか?


A.代表的な原因として、意思決定の停滞、ノウハウや知的財産をめぐる問題、撤退条件の未整備などがあります。

これらは、JV契約を締結する段階で検討できる論点です。設立を急ぐのではなく、将来的に意見が割れた場合まで想定してルールを決めておけば、後のトラブルを防ぎやすくなります。



まとめ|ジョイントベンチャー・合弁会社は「設立後」まで見据えて作る


ジョイントベンチャー・合弁会社の作り方は、①パートナー選定、②基本合意、③主要条件の調整、④JV契約、⑤合弁会社の設立という流れで進めます。


特に重要なのが、出資比率や意思決定のルール、JV契約の内容です。50:50で出資する場合は、デッドロックへの備えも欠かせません。


また、JVは会社を設立して終わりではありません。

登記後は経理・労務・請求・総務などの業務が発生するため、誰が管理するのかを設立前から考えておくことが大切です。バックオフィス体制は親会社による兼務・出向、新会社での採用、外部リソースの活用など、複数の選択肢があるため、親会社との役割分担を踏まえて、適した方法を検討しましょう。



ジョイントベンチャー・合弁会社のバックオフィス体制の設計や構築も


JVの立ち上げでは、会社設立の手続きだけでなく、設立後の経理・労務・総務などを誰が担うのかまで、あらかじめ整理しておく必要があります。


レジリエント株式会社の「オフィス番」では、バックオフィス業務のBPO、業務改善、SaaS導入支援を組み合わせ、さまざまなパターンの管理体制づくりを支援してきました。


「親会社から人を出すのが難しい」

「新会社で管理部門を採用するほどの業務量ではない」

「SaaS選定から業務設計まで相談したい」


こういった、JV立ち上げ時のバックオフィスに関する相談にも対応しています。


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